仕事の休憩中、同僚と何気なく話していたとき、「これ、意外とおいしいよ」と勧められた食べ物があった。
名前は知っていたけれど、自分から選んだことはなかった。なんとなく好みではなさそうだと思って、今まで避けていたものだった。
その日はなぜか、少し気になって買ってみた。
食べてみると、思っていたよりずっとおいしい。
「もっと早く食べておけばよかったな」と思いながら、知らないものを選んでみるのも悪くないと思った。
趣味でも、似たようなことがある。
友達からすすめられた映画を見てみたり、同僚が休日にやっていることを聞いて興味を持ったり、上司から昔好きだった本の話を聞いて、そこから新しい作品を探してみたり。
誰かと話していると、自分一人ではたどり着かなかった場所に、思いがけず案内してもらうことがある。
誰かが教えてくれた世界を選んでみる
休日の過ごし方も、少しずつ変わってきた。
以前なら家でゆっくりすることを選んでいた休日に、誰かから聞いた場所へ行ってみたり、知らなかった趣味を試してみたりする。
最初は「自分には合わないかもしれない」と思っていたことでも、実際にやってみると意外と楽しい。
そして、そういう日が何度か続くと、自分の中に小さな変化があることに気づく。
昔なら選ばなかったものを、今の自分は選んでいる。
それは大きな決断ではない。
食べ物を一つ選ぶことだったり、休日の予定を一つ変えることだったりする。
でも、その小さな選択の中に、自分が少しずつ変わってきたことが見える。
自分だけで変わろうと思っていたら、きっと知らないままだったものもある。
友達や同僚、上司との何気ない会話が、新しい世界への入り口になることもある。
そう考えると、人との出会いには、自分の知らない自分を見つけるきっかけも含まれているのかもしれない。
昔の自分なら選ばなかったものを、今の自分が選んでいる。
そのことに気づいた日は、少しだけ自分の歩いてきた時間が愛おしく感じられる。


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