久しぶりにカレーを作った。
特別な理由があったわけではない。
なんとなく食べたくなって、買い物の時に材料をカゴへ入れた。
玉ねぎを切って、鍋で炒める。
少しずつ色が変わっていく様子を見ながら、のんびり夕飯の準備を進めていた。
料理をしていると、テレビから美味しそうな料理が次々と流れてくる。
お肉料理だったり、魚料理だったり。
思わず「美味しそうだなぁ」と見入ってしまうものばかりだった。
どれも魅力的で、お店で食べたらきっと幸せな気持ちになるんだろうなと思う。
それでも、その日の主役は別だった。
カレーの香りには勝てない
ルーを入れた瞬間だった。
部屋の中に広がる、あの独特の香り。
それまでテレビで見ていた料理のことが、一気に頭の中から消えていった。
「あ、今日はカレーだ。」
ただそれだけで、なんだか嬉しくなる。
不思議なものだと思う。
世の中には数えきれないほど美味しい料理がある。
それなのに、カレーの香りには特別な力がある気がする。
子どもの頃から食べてきた安心感なのか。
それとも単純に香りが反則級に強いのか。
理由はよくわからないけれど、とにかく食欲を刺激される。
鍋をかき混ぜながら、改めて思った。
やっぱりカレーってすごいな、と。
実際に食べてみると、期待を裏切らない美味しさだった。
もちろん高級料理ではない。
特別な食材を使っているわけでもない。
でも、食べるとほっとする。
おかわりしたくなる。
そして翌日も食べたくなる。
そんな料理は案外少ないのかもしれない。
窓の外ではゆっくりと夜の時間が流れていて、部屋の中にはカレーの香りがまだ少し残っていた。
その香りに包まれながら、なんだか満足した気持ちになる。
久しぶりに作ったカレーは、思っていた以上に美味しかった。
そして何より、カレーの存在感を再確認した。
いろいろな料理があるけれど、やっぱりカレーは強い。
そんなことをしみじみ思った夜だった。


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