朝からなんだか慌ただしい一日だった。やることが次々と目の前に現れて、気づけば時計の針ばかりを気にしている。パソコンの画面に向かいながら、頭の中では次の予定を追いかけていて、どこか落ち着かない。
それでも、ふと時計を見るとお昼の時間が近づいていた。「そろそろ休憩にしよう」と小さく区切りをつけて、席を立つ。デスクを離れるだけで、少しだけ肩の力が抜けるのがわかる。
給湯室でお湯を注いで、コーヒーを淹れる。カップから立ち上る香りがふわっと広がって、それだけで少し気持ちがゆるんだ。窓際の席に座って、一口飲む。熱すぎず、ちょうどいい温度で、じんわりと体に染みていく。
“何もしない時間”がくれる、やさしい余白
この時間だけは、仕事のことを考えないと決めている。スマホも見ないで、ただぼんやりと外を眺める。道を歩く人や、ゆっくり流れる雲を目で追いながら、何も考えない時間を過ごす。
ほんの数分なのに、不思議と心が整っていく。さっきまでの慌ただしさが、少し遠くに感じられるようになる。コーヒーの香りと、静かな空気に包まれていると、「こういう時間、大事だな」と自然に思えた。
忙しい日ほど、つい休憩を短くしてしまいがちだけど、本当はこういう時間こそ必要なのかもしれない。何かをするための時間ではなく、何もしないための時間。
カップの中のコーヒーを飲み干して、ゆっくり立ち上がる。さっきよりも少しだけ軽くなった気持ちで、またデスクへ戻る。
午後もきっと忙しい。でも、この小さな休憩があるだけで、少しやさしく向き合えそうな気がする。


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