雪が降るかもしれない朝は、いつも少し特別だ。目覚ましが鳴る前に、なんとなく目が覚めて、まずはカーテンを少しだけ開いてみる。外はまだ薄暗くて、街全体が息をひそめているように静かだ。
音が少ない。車の音も、人の話し声も、いつもより遠く感じる。その「しん」とした感じが、なぜかとても心地いい。今日が忙しい一日になるとしても、この数分間だけは、時間がゆっくり流れているような気がする。
窓を少し開けると、冷たい空気がすっと入ってくる。透き通った空気が、部屋の中まで澄ませてくれるみたいで、深呼吸したくなる。冬の朝の空気は冷たいけれど、嫌じゃない。むしろ頭の中まできれいにしてくれる感じがする。
雪はまだ降っていない。でも、今にも降り出しそうな気配がある。空は明るすぎず暗すぎず、雲が低く垂れ込めていて、音を吸い込んでしまいそうだ。その曖昧な感じが、少しだけワクワクさせてくれる。
コーヒーを淹れて、湯気を眺めながら、もう一度外を見る。もし雪が降ったら、通勤や通学は大変かもしれない。それでも、こんな朝だけは「降ってもいいな」と思ってしまう。白くなる景色を、ほんの少し期待している自分がいる。
雪が降るかもしれない朝は、何も起きていないのに、心が静かに満たされる。ただ空気が澄んでいて、街が静かで、それだけで十分。そんな朝があるだけで、冬はやっぱり悪くないなと思う。



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