冬の朝は、いつもよりゆっくり一日が始まる気がする。外の空気が冷たいせいなのか、窓の向こうの景色が白っぽく霞んで見えるせいなのか……たぶんどっちもだろう。
目が覚めても、布団の中があまりにあったかくて、しばらく動けない。手をそっと外に出してみると、空気がひんやりしていて、思わず布団の中に戻してしまう。「冬の布団って、どうしてこんなにも幸せなんだろう」毎朝そんなことをぼんやり考えている。
布団の中は、自分だけの小さな秘密基地みたいで、外の冷たい世界とは切り離された別空間。ふわっとした温もりに包まれていると、時間がゆっくり流れているようで、つい二度寝の誘惑に負けそうになる。いや、負けることのほうが多いかもしれない。
でも、そのうち部屋全体が少しずつ暖まってくる。ストーブの音が小さく鳴って、空気がふわっと動き始めるあの瞬間が好きだ。「そろそろ起きてもいいかな…」って、自然と思える。あの、布団から外に出るための“心の準備時間”が冬の朝の大事な儀式みたいになっている。
布団からやっと出て、足を床につけた瞬間のひんやり感には毎回びっくりするんだけど、それも含めて冬の朝らしくてちょっと楽しい。キッチンに行って、お湯をわかして、温かい飲み物を作る。湯気がふわっと立ちのぼるのを見ると、ようやく体も心も起きてきた気がする。
たぶん冬の布団がこんなにも幸せなのは、寒い外とのギャップがあるからなんだろうな。冷たい季節だからこそ感じられる温もりって、なんだか特別で、ちょっと胸にしみる。
今日もきっと、布団の中でぬくぬくする時間からスタート。それだけで、なんだか小さな幸せをひとつもらったような気分になる。



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