夜が深くなって、家の中がしんと静まり返る時間がある。テレビを消して、スマホも置いて、ただ部屋の灯りだけが点いている夜。時計の針の音や、遠くを走る車の音が、いつもよりはっきり聞こえる。
そんな静かな夜になると、自然と考えごとをしてしまう。今日あったこと、何気なく言った言葉、これからのこと。特別に重たいことじゃなくても、頭の中をゆっくり巡っていく。
不思議なのは、その時間が少し落ち着くということ。世界にはたくさんの人がいるはずなのに、その瞬間だけは、自分しか存在していないような気がする。誰にも急かされず、何かを求められることもない。
カーテンの隙間から見える夜の空は、昼間よりもずっと近く感じる。街の音が少なくなった分、自分の呼吸や、心の動きがよくわかる。
静かな夜には、特別な雰囲気がある。それは華やかでも、楽しくもないけれど、確かに大切な時間だと思う。自分と向き合うための、少しだけ与えられた余白みたいなもの。
考えごとがまとまらなくてもいい。答えが出なくてもいい。ただ、静かな夜に包まれているだけで、心が整っていく気がする。
明日になれば、また音の多い日常が始まる。だからこそ、この夜の静けさを、そっと味わっていたい。誰にも邪魔されない、自分だけの時間として。



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