年末が近づいてくると、なんとなく家の空気がそわそわしてくる。ここから大晦日まで、家の中はずっと“掃除モード”だったなぁと、ふと思い出す。子どものころは、掃除そのものはあんまり好きじゃなかったはずなのに、不思議と嫌な記憶は残っていない。
特に覚えているのは、障子の張り替え。あれって、破っていい時はどうしてあんなに楽しいんだろうね。普段なら絶対怒られることなのに、「今日は破っていいよ」と言われるだけで、特別な遊びの時間みたいだった。指でそっと押すと、紙がふわっと破れていく。柔らかい光が反対側から透けてくる感じが、なんともいえなくて好きだった。
掃除の中で、もうひとつ印象に残っているのが天井のホコリ落とし。長い棒に箒をくくりつけて、「これ届く?」なんて確認しながら、家族でワイワイやっていた。上の方をこすると、ふわっとホコリが落ちてきて、慌てて逃げる。それだけのことなのに、なぜかめちゃくちゃ楽しかったんだよね。冬の冷たい空気、ストーブの匂い、外から聞こえる風の音――そういう全部が合わさって、今思えば、あの時期ならではの雰囲気があった。
日常の中に、ちょっとしたイベントが混じると、子どもって途端に元気になる。掃除という「めんどくさいこと」でも、“いつもと違う体験”があるだけで、なんだかワクワクしてしまっていた。
今は、掃除と聞くと「うわ、大変だなぁ…」が先に来るけれど、子どものころはそんな気持ち、きっと持ってなかった。大晦日が近づくにつれて家の中が少しずつ綺麗になっていくのを、「なんか年末っぽいなぁ」と思いながら眺めていた気がする。
掃除の音、外の冷たい空気、ほこりがふわっと落ちる瞬間、障子を破る小さな快感。そんな全部が、今でもふと胸の中に残っていて、思い返すとなんだか優しい気持ちになる。



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