県庁所在地

日記

今日、テレビでクイズ番組を眺めていたら、県庁所在地を答える問題が出てきた。出演者がスラスラ正解していくのを見ながら、「すごいなぁ」と感心しつつ、どこか胸の奥がそわそわした。というのも、私は昔から「地理」が苦手で、県庁所在地なんて今でもちゃんと言えるか自信がない。

子どものころ、教科書に載っている日本地図を見ながら、県名の位置まではなんとなく覚えられるのに、そこに小さく書かれた県庁所在地の文字を覚えるのが本当に苦手だった。クラスのみんながテストで点を取って喜んでいる中、私だけが地図帳を前に「どっちがどっちだっけ…」と悩み続けていた記憶がある。

今朝も、通勤前に窓を開けたら、冷たい空気がすっと部屋に流れ込んできた。こんな季節になると、学生時代の記憶がふと浮かんでくる。こたつで丸くなりながら、地理の宿題を前に頭を抱えていたあの頃。あたたかい飲み物の湯気が揺れていて、でも地名は全く頭に入ってこなくて。そんな自分にちょっと笑えてしまう。

大人になった今も、地理への抵抗感は少なくなったとはいえ、得意ではない。スマホの地図アプリが当たり前になったおかげで、ますます覚えなくなった気もする。でも、たまに知らない土地へ仕事で行くと、電車の窓から流れていく景色を眺めながら、「こういうのも悪くないな」と思う瞬間がある。昔はただ苦手だと避けていた世界が、今はちょっとだけやわらかく感じられる。

地理が苦手なままでも、なんとか生きていけているし、たぶんこれからも覚え直す予定はない。でもいつか、旅先の駅でふと「ここって県庁所在地なんだよね」と自然に口にできたら、それはそれで少し嬉しいかもしれない。

苦手って、完全に克服しなくてもいいのかも。“まぁ、そんな自分もありだよね”と、コーヒーを飲みながらそう思った朝だった。

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