インターネットが“魔法”だった頃

日記

初めてインターネットに触れた日のことを、今でもよく覚えている。あの頃、家にパソコンを持っている家庭なんて、まだ珍しかった。特に、透明なカラフルボディが印象的だったMac。青やピンクの半透明の本体が光る姿は、まるで未来の機械のように見えた。そんなMacを持っている家は、まわりでもほんの数えるほどだった。

私の家にはパソコンがなかったから、よく学校の視聴覚室や町の公民館に通っていた。薄暗い部屋の中、古い蛍光灯の明かりがパチッとついて、先生や職員さんに「インターネットっていうの、やってもいいですか?」なんて聞いていた。ダイヤルアップの接続音が「ピー、ガガガッ」と鳴って、そのたびに胸がドキドキした。

画面の中に、知らない世界が広がっていくのが不思議でたまらなかった。“エジプトのピラミッド”って入力すれば、すぐに写真や説明が出てくる。“星座”と調べたら、夜空の図や物語まで見られる。まるで魔法みたいだった。本で調べるよりずっと早くて、しかも世界中のことが自分の前に現れる――そのことに、心の底から感動した。

当時の画面は今のように鮮やかじゃなかったし、文字ばかりで読みづらいことも多かったけれど、“知らないことを自分の力で調べられる”というだけで、胸がいっぱいだった。友達と一緒に調べたあと、ノートにメモを取って、「これ、すごくない!?」なんて言いながら笑い合った。あの瞬間、世界が少し広くなった気がした。

今はスマホを開けば何でもすぐに分かる時代。それでも、あの頃の“調べる喜び”は、今も心に残っている。ひとつの検索が、まるで冒険の入り口だったあの感覚。あの初めての“感動”が、たぶん今の自分の好奇心の原点なんだと思う。

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