スーパーで買ったお菓子の袋を開けたとき、ふと赤いベルのマークが目に入って、懐かしい気持ちになった。そういえば、小学生のころ、ベルマークをせっせと集めていたなぁ。お菓子やノート、ジュースの箱。どれを見ても、つい裏をめくって「ベルマークあるかな」って探していた。
家のテーブルの端には、小さな封筒。母が「学校に持っていくやつでしょ?」と手伝ってくれて、一緒に切り取って入れていた。はさみの音と、テレビから流れる夕方のニュース。なんでもない時間なのに、どうしてあんなに楽しかったんだろう。
ベルマークって、たしか集めると学校のものと交換できる仕組みだったと思う。詳しいことはよくわかっていなかったけれど、「誰かの役に立つんだよ」って先生が言っていて、その言葉だけでなんだか誇らしい気持ちになった。
休み時間、教室の後ろに置かれた回収箱にベルマークを入れる瞬間。カサッと音を立てて落ちていく小さな紙切れを見ながら、「これでまた誰かが喜ぶのかな」なんて思っていた。あの頃の私は、本気でそう信じていた。
最近はあまり見かけなくなったけれど、調べてみたら今でも続いているみたい。なんだか嬉しくなった。時代が変わっても、あの小さな赤いマークが、どこかで誰かの気持ちをつないでいるんだと思うと、少しだけ胸があたたかくなる。
昔のように、わざわざ袋の裏をチェックしたりはしないけれど、今日、たまたま見つけたベルマークを切り取ってみた。封筒に入れる場所ももうないけれど、なんとなく、あの頃の自分に会えたような気がした。



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