今日のご飯はシチューだよー

日記

夕方、仕事帰りに少し遠回りをして歩いていたら、前を歩く親子の声が聞こえてきました。小さな男の子がランドセルを背負って、お母さんの手をぎゅっと握っています。

「今日のごはん、なにー?」

「今日はね、シチューだよ」

その言葉を聞いた瞬間、なんだか胸の奥がじんわり温かくなりました。

冷たい風が少し強くなってきた帰り道。街灯がぽつぽつと灯り始めて、家々の窓からは夕食の支度の匂いが漂ってきます。どこかの家からはテレビの音、遠くからは笑い声。そんな何気ない音たちが、静かな街にやさしく響いていました。

子どもの「やったー!」という声がして、お母さんがふふっと笑う。それだけの会話なのに、どうしてこんなに心が温まるんでしょうね。誰かと過ごす日常のやり取りって、特別な言葉じゃなくても、ちゃんと幸せを運んでくるんだなぁと感じました。

ふと、自分の小さい頃を思い出しました。寒い日に帰ると、キッチンの湯気と一緒に母の声がして、「おかえり、今日はシチューだよ」なんて言われたっけ。その瞬間の安心感は、今でも心のどこかに残っています。

家に帰って、私もなんとなく温かいものが食べたくなりました。お鍋に火をかけながら、さっきの親子を思い出します。なんでもない会話って、きっと日々の中でいちばん優しい時間なのかもしれません。今日の夜は、自分にも小さな「おかえり」を言ってあげよう。そんな気持ちで、ゆっくりと湯気を見つめていました。

コメント