春の朝は、部屋に入ってくる光がやわらかい。
カーテンのすき間から差し込む明るさで、なんとなく目が覚める日がある。まだ眠気の残る目をこすりながら、ゆっくりベッドから起き上がる。すぐには動けなくて、少しのあいだ布団のぬくもりを名残惜しく感じるけれど、それでも朝はちゃんと始まっていく。春の光には、急かす感じがなくていい。ただ静かに、「もう朝だよ」と教えてくれるような気がする。
頭が目覚めるのを待つ朝の時間
起きたばかりの頭は、まだ少しぼんやりしている。
何かを考えようとしても、うまくまとまらなくて、とりあえず椅子に座る。そんな朝の頼りない感じも、私は案外きらいじゃない。無理にシャキッとしなくてもいい時間が、少しだけ残されている気がするからだ。窓の外を見ると、やわらかい日差しの中で街が少しずつ動き始めている。遠くで車の音が聞こえたり、風に揺れる木の枝が見えたりするだけで、朝の空気がゆっくり流れているのがわかる。
それから、温かいコーヒーをいれる。
カップから立ちのぼる湯気を見ていると、それだけで少し気持ちが落ち着く。ひとくち飲むと、じんわりと温かさが身体の中に広がっていく。まだ頭は完全には起きていないけれど、その時間がむしろ心地いい。すぐに元気にならなくても、すぐに切り替えられなくてもいい。ただコーヒーを飲みながら、少しずつ頭が目覚めていくのを待つ。そのゆるやかな時間が、春の朝にはよく似合う気がする。
忙しい日ほど、すぐに動かなきゃと思ってしまうけれど、こんな朝のひとときがあるだけで、その日の気持ちは少し違ってくる。
眠い目をこすって、椅子に座って、温かいものを飲む。ただそれだけのことなのに、不思議と心まで整っていく。春の光が部屋に入り、コーヒーの香りが静かに広がる朝。この、頭が目覚めるのを待つ時間が、私はけっこう好きだ。


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