年末が近づくにつれて、少しずつ食卓が豪華になっていくこの時期。子どものころの私は、それがたまらなく嬉しかった。普段は出てこない料理が、気がつけば当たり前のように並んでいて、まるで「今日は特別なんだよ」と語りかけてくるようだった。
特に覚えているのは、寿司とピザ。どちらも“年末年始だけのごちそう”みたいな立ち位置で、普段の食卓にはまず並ばないものだった。だからこそ、この期間に入るとワクワクが止まらなかった。「あ、今日の夕飯、なんか豪華だ…!」と気づく瞬間の胸の高鳴りは、今でもはっきり覚えている。
学校から帰って、玄関を開けたときのあのワクワク感。炊き込みご飯の香りでも、味噌汁でもなく、酢飯の香りがふわっと鼻に届いた日なんて、もう心の中でガッツポーズ。ピザの箱がキッチンに置いてあった日も、「今日は勝ち確だ!」なんて思っていた。
そんな“特別な日”が連続していくこの時期は、子どもにとってまさに宝箱みたいな季節だった。明日は何が食卓に並ぶんだろう、今日はどんなごちそうが出るんだろう――毎日が小さなサプライズの連続だった。
そして大人になった今でも、寿司もピザも大好き。思えば、この頃のワクワクした気持ちが、そのまま今の好きを形作っているんだろうなぁと思う。忙しい日々の中でも、ふとスーパーや店頭で寿司やピザを見ると、あの頃の「明日も楽しみだなぁ」という気持ちがよみがえる。
今年もまた、そんな季節が近づいてきた。大人になってからはワクワクの理由は少し変わったけれど、それでも「年末って、なんかいいよね」と思えるのは、きっと子どものころのあの記憶が心のどこかにずっと残っているからだと思う。



コメント