体育館の不思議な安心感。響く声と昔の記憶を思い出す日

日記

体育館って、どうしてあんなに不思議な空間なんだろう。久しぶりに近所の体育館の前を通ったら、小さいころの空気がふっと胸の奥で蘇った。外の冷たい風が、ガラガラッとあの重たい扉を開けた瞬間に、一気にあたたかい空間へと変わっていく。あの独特の、包み込まれるような安心感。言葉にしにくいけれど、体育館にはそんな雰囲気が確かにあった。

天井を見上げると、いつもどこかにボールが引っかかっていた。どうやってあそこに行ったんだろう、と友だちと笑いながら見上げていた記憶がある。バスケのボールだったり、バレーボールだったり、時には誰も見たことがないような古いボールが止まっていたりして、まるで体育館そのものが思い出を溜め込んでいるみたいだった。

広い空間に響く声も、懐かしい。先生の笛の音、友だちの笑い声、自分の足音。全部が体育館の大きな箱の中で反射して、少し大げさに返ってくる。その響きがなんだか好きで、走るわけでもないのに無駄に声を出してみたりした。

大人になった今、体育館で過ごす時間はほとんどなくなったけど、あの雰囲気はしっかり心に残っている。包まれる安心感、少しひんやりする床、天井まで一直線に伸びる光。日常の中でふと見かけるたびに、「また行ってみたいな」と思わせてくれる。

体育館って、ただの建物じゃなくて、思い出そのものなんだと思う。

コメント