学校の机と椅子

日記

最近、ふと街を歩いていて家具屋さんの前を通ったとき、すごく久しぶりに“学校の机と椅子”のことを思い出した。あの独特の木の色と、ちょっとカサついたような手触り。どこにでもありそうなのに、あの形はなぜか「学校でしか見ないもの」のように感じてしまう。大人になった今、あの質感に触れる機会なんてほとんどないからこそ、余計に懐かしさがこみ上げてくる。

朝の光の中、教室に入った瞬間の木の匂い。窓際の机は日ざしでほんのり温かくて、逆に廊下側の席は冬になると冷たくて。そんな、どうでもよさそうで確かに覚えている感覚までよみがえってくる。椅子を引いたときの「ガガッ」という音も、今思えば学校ならではの音だったなぁ。生活の中に自然に混ざっていたから気づかなかったけど、もう日常では聞くことがない。

そして何より懐かしいのは、あの机の中に入れるための小さな箱。教科書やノート、時には折り紙セットや図工で使う紙粘土の袋まで、なんでも詰め込んでいた。机の奥に何が入っているのか、自分でもよくわからなくなるあの感じ。掃除の時間になると、机の中の紙くずを慌ててかき出して、「こんなもの入ってたっけ?」と不思議に思う。それすらも、今思い返すと愛おしい。

放課後、友達としゃべりながら机に落書きしたり、先生に注意されたり。テストの時間は、机の上に広げた答案用紙だけが世界のすべてに見えたり。あの机と椅子のまわりには、たくさんの思い出がぎゅっと詰まっているんだなとしみじみ思う。

もし今、どこかの学校にふらっと入って教室をのぞいたら、きっとあっという間にあの頃の空気が自分の中に流れ込んでくるんだろうな。木の匂い、子どもたちの声、机の脚がこすれる音。どれも、日常には戻ってこないけれど、心の中にはちゃんと残っている。

何気ないけど、忘れられない。学校の机と椅子って、そんな存在なのかもしれない。

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