ゆきだるまとかまくら

日記

私が育った町は、いわゆる“雪国”だった。といっても、ニュースで見るような豪雪地帯ほどではなくて、積もってもだいたい1メートルくらい。でも子どもにとっては、それだけあれば十分に“夢の世界”だった。

朝、カーテンを開けると、真っ白な世界が広がっている。空気が静かで、音が吸い込まれるようなあの感じが好きだった。手袋をして外に出ると、雪の匂いと、吐く息の白さ。それだけで少しワクワクしていた。

雪が積もると、よく雪だるまを作った。小さなスコップで雪を集めて、転がして転がして……。最初は簡単なんだけど、途中からどんどん重くなっていく。手袋の中がぐっしょり濡れても、夢中で丸めていたなぁ。友達と「どっちが大きい雪だるま作れるか勝負!」なんて言いながら、気づけば日が暮れていた。

かまくらも作ったことがある。さすがに雪の量が足りなくて、一軒分を作るのは難しかったけど、みんなで雪を寄せ集めて、なんとか小さな空間を作った。中に入ると、外より静かで、なんだか自分だけの秘密基地みたいで。小さなろうそくを灯して、みんなでお菓子を食べたりしていた。

今思えば、あの寒さも楽しかったんだと思う。雪が降るたびに「また外に出たい!」って思えたのは、きっと子どもだからこそ。大人になった今は、雪を見ると「車が滑らないかな」なんて心配のほうが先に来ちゃいます。

それでも、冬の朝にうっすら雪が積もっていると、ついあの頃の気持ちがよみがえる。白い息を吐きながら、スコップを持って走っていた自分。赤いほっぺで笑っていた友達。あの冷たい空気の中に、確かに“楽しかった時間”が詰まっていた。

たまには、あの頃みたいに雪の上を歩いてみたくなる。足跡を一歩ずつつけながら、あの冬の匂いをもう一度感じてみたいな。

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