こたつとみかんと干し芋と

日記

子どもの頃、冬になるとおばあちゃんの家にこたつが出ていました。分厚い布団に足を入れると、じんわりと広がるあのぬくもり。外は冷たい風が吹いていたけれど、こたつの中だけは小さな世界みたいにあたたかくて、安心できる場所でした。

テーブルの上には、いつもみかんの山。「いっぱい食べなさい」と笑うおばあちゃんの声を思い出します。ひとつ、またひとつと手を伸ばして、指先が少し黄色く染まっていく。ストーブの上では、アルミホイルの上の干し芋がじっくり焼かれていて、部屋の中に甘い香りが広がっていました。その匂いをかぐだけで、なんだか幸せになれたんですよね。

おばあちゃんは、焼きたての干し芋を少し冷ましてから、いつも私の前にそっと置いてくれました。「熱いから気をつけてね」って言いながら。やわらかくて甘くて、どれも本当においしかった。みかんと干し芋の甘さが、こたつのぬくもりと一緒に、子どもの私の記憶に深く残っています。

今でも冬の匂いを感じると、不思議とあの部屋の風景を思い出します。赤く光るストーブの火、こたつ布団の模様、おばあちゃんの穏やかな笑顔。あの時間はもう戻らないけれど、心の中ではいつまでもあたたかいままです。

大人になってから食べるみかんも干し芋も、やっぱりあの頃の味には敵いません。でもその度に、「おいしかったよ」「ありがとうね、おばあちゃん」と心の中でつぶやきます。冬の静かな夜、こたつに足を入れると、まるでおばあちゃんに包まれているような気がします。

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